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物産展情報を気ままに綴ります。
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今日九州南部が梅雨明けしたそうです。やっと本土まで本格的な夏がやってきます。毎年梅雨の時期には本当に北海道が羨ましくなってしまいます。

でも先月北海道に行った際に北海道のローカルニュース番組を観ていたら、今年は本州よりも北海道のほうが梅雨みたいな天気だったようですね。6月は晴れが半分以下だったそうで、よさこいも雨の中での開催を余儀なくされました。たしかに北海道の人も今年は気温が上がらないってぼやいていました。

北海道物産展といえば、数ある物産展のなかでもやはり人気No.1です。郊外の百貨店でも物産展はやらないけど、北海道だけは例外というところもあるとかないとか。

北海道展の強みは米飯といわれる寿司・弁当、生鮮三品といわれる青果・精肉・鮮魚、そして和洋菓子がバランスよく大きな売上を持つところにあります。(近年ではアンテナショップといわれるセルフ販売方式のショップが好調なグロッサリー(瓶缶袋物)も一部ではかなり伸びているという話も聞きます。)

米飯・生鮮三品・和洋菓子の共通点は高単価であることです。だからこそ出展者も百貨店も経営効率の悪い臨時イベントでありながら物流費・宿泊費・交通費などを価格の中に織り込みながら売上を伸ばし、ひいては採算が合うのです。

ただ菓子がここまで伸びてきたのはここ15年ほどのことです。もちろん北海道物産展の歴史において以前から菓子は販売されていました。サザエ食品(おはぎ)、六花亭(ホワイトチョコ・マルセイバターサンド)、石屋製菓(白い恋人)、柳月(三方六)、わかさいも本舗(わかさいも)、三星(よいとまけ)などです。

私もこの業界に携わってまだ10年ほどですから昔のことは調べきってはいませんが、おそらく六花亭がホワイトチョコレート(日本で最初に流行らせたのは六花亭だそうです)・マルセイバターサンドを立て続けにヒットさせたのが70年代半ばです。

ホワイトチョコレートの引き合いが多くなったことで、他の千秋庵グループ店の営業テリトリーを荒らす形になった帯広千秋庵が千秋庵の暖簾を返上して六花亭というブランドを立ち上げざるを得なくなったのが77年でした。その後マルセイバターサンドで北海道物産展の行列アイテムになりました。

函館で創業した食堂が作るおはぎが有名なって札幌に進出し、デパチカにも出店したことで日本橋三越に店を持ったサザエ食品が全国の北海道物産展の常連だったのも80年ごろです。ですから北海道物産展における菓子の歴史というのは意外に長いのです。

その後80年代にロイズ(生チョコレート)、90年代にもりもと(ハスカップジュエリー)・ルタオ(ドゥーブルフロマージュ)・北菓楼(シュークリーム)・きのとや(スフレ)などが物産展に参入して北海道物産展で菓子が一定の存在感を持つようになってきたのです。

物産展の顧客は一般的には50代以上の女性が中心です。しかし百貨店がもっとも力を入れているのは20-40代の女性です。物産展でふだん来ないお客さんに来てもらう、というのも戦略のひとつですが、やはり力を入れている層の顧客に来てもらって他の階でも服等を買ってもらったほうが店全体の売上に貢献できるというのが百貨店の狙いでした。

その店北海道物産展は確実に菓子目当ての顧客を増やしたことで中心顧客の年齢層は30-45歳くらいに下がりました。知人の話ではベビー子供服のバーゲンと同時開催すると最も売上が大きくなるということもあるようです。確かに他の物産展に比べて会場でベビーカーの台数が多い気がします。

ここからいよいよ本題なのですが、菓子の特徴は流行り廃りが激しいことです。生鮮三品は品種改良でもしない限り新しいものは出てきませんから流行はありません。弁当は海鮮弁当かステーキ弁当が主流で、あまり流行というものをつくるほどの新奇性はありません(豚丼とか多少のトレンドはあるかもしれませんが)。

菓子はかつては5年から10年くらい、近年では2年くらいのサイクルでブームを繰り返しています。とくに2000年代になってから、ほぼ毎年のようにヒット商品が生まれています。やはりマスメディアに加えネットの普及もあるのでしょうか。

70年代前半:ホワイトチョコレート
70年代後半:マルセイバターサンド
80年代前半:おはぎ・白い恋人
80年代後半:生チョコレート
90年代:ヒット商品はないがマルセイバターサンド・白い恋人・生チョコレートが安定的売上。
90年代後半:ルタオ・もりもとなどが物産展に進出。菓子業者の参入相次ぐ。
00年ごろ:ロールケーキブーム(洋生ケーキの実演が増える)始まる。
01年:ストロベリーチョコレート(六花亭)がブーム。
02年:シュークリーム(北菓楼)が行列。
04年:プリン(フラノデリス)が大ブーム。全国でプリン人気広がる。
05年:ポテトチップチョコレート(ロイズ)人気拡大。
06年:ドゥーブルフロマージュ(ルタオ)が人気沸騰。ネットでも品切れ。
07年:開拓おかき(北菓楼)ヒット。道内限定でじゃがポックルも流行。
08年:生キャラメルが大ヒット。特に花畑牧場が伸びる。新規参入も相次ぐ。

このような流れの中で、過去最大級のブームが続いているのが生キャラメルです。(あるパティシエによればもともとフランスでは柔らかいキャラメルはあったそうなのですが、)興部のノースプレインファームが開発したのが最初です。それを大学で同窓だった花畑牧場の田中義剛さんも製造販売しだして人気に火が付きました。

テレビを中心にタイアップして巧みにPRしたことで、花畑牧場が出展した2008年の北海道物産展は大きく売上を伸ばしました。サブプライム・リーマンショックをものともせず前年比120%程度の売上があがったところもあります。

花畑牧場だけで池袋西武(08年9月)で4500万、新宿伊勢丹で2500万(09年2月)という話も聞いています。それぞれ会場の1-2割のシェアを持っています。それなら当たり前ですよね。売上が伸びるのは。

それに気を良くした百貨店は北海道物産展の会期を延長したり、開催回数を増やしているといいます。下の記事の通りです。

以下は7月11日付日本経済新聞北海道版より

東京の百貨店、道物産展が「救世主」に 高い集客力に期待

 北海道物産展が売り上げ不振に悩む百貨店の「救世主」として注目を集めている。北海道物産展はこれまでも百貨店で開催される物産展の中では好調な売り上 げを誇ってきたが、今年に入って東京都内の大手百貨店が開催期間を延長したり回数を増やしたりと一段と強化する動きが出ている。物産展は集客力が強く、他 の売り場への波及効果が大きい。物産展シーズンが本格化する9月には北海道人気の争奪戦が起こりそうだ。

中元商戦が終わって一段落した9月から、お歳暮商戦の始まる11月までの2カ月間が、物産展の秋の陣。今年は特に新宿、池袋で9月1 日から小田急百貨店新宿店と伊勢丹新宿店、2日から京王百貨店新宿店、3日から西武百貨店池袋本店で相次ぎ北海道物産展を開催する。「ここまで日程が重な るのは異例」(百貨店関係者)という。百貨店全体の既存店売上高は消費の冷え込みを背景に前年同月比で2けた減が続き、集客効果が見込める物産展をテコに 売り上げを伸ばしたいという意図が透けて見える。


引用終わり

新宿京王などは従来秋だけの開催を春にも増やしています。なかには、年2回だったのを3回に広げる動きもあるそうです。

私は個人的に危機感を持って眺めています。限界効用逓減の法則ではないですが、回数を増やせば増やすほど、飽きられることも早くなります。ブームの商品は少し足りないくらいがちょうどいいのです。

ましてや花畑牧場は都内の繁華街にも直営店を数店舗構えています。今回の秋に花畑で数字が取れる保証はありません。むしろだめな確率のほうが高いでしょう。花畑も生キャラメルがだぶついているらしく、有楽町のどさんこプラザなどにも売り込みをはかっているという噂も聞こえてきます。

物産展No.1の地位を安泰にするためにも、もう一度立ち止まって考えてほしいと思います。ましてや同じ商圏で同じ時期にぶつけるというのは愚の骨頂です。3年ほど前に京王と小田急が秋の北海道物産展をぶつけたことがありました。あのときの反省はないのでしょうか。

結局出展者がそろわずお互い中途半端な内容になったはずです。催事屋さんの付け入る隙が大きくなるだけです。出展者は囲い込みされたりしてどちらの百貨店にも嫌味をいわれて不愉快な思いをしているはずです。顧客も出展者も不在の不毛な消耗戦は止めたほうが良いのではないしょうか。
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