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物産展情報を気ままに綴ります。
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(初出:2005年4月4日)

ほとんどのデパートで開催される物産展。
多いところでは年間52週のうち、20本近く開催されます。

その全てをデパートは独力で企画するんでしょうか。
だとしたらデパートの物産展バイヤーは大変です。

実は、それを企画したり支援する団体もあります。
今日はその団体について書いてみましょう。

その団体は物産協会といいます。
デパートの物産展のチラシの「○○物産展」というタイトル脇に
「主催」や「後援」する団体がたくさん印刷されています。
都道府県や市町村とならんで、
「物産協会」が入っているはずです。

そもそも都道府県庁の中には
「物産振興課」とか「商工観光課」とか「物産観光課」
という部署があります。
このような部署は市町村や(東京で言う三多摩みたいな)地域レベルでも
設置されていることもあります。

ここは、自分たちの都道府県の特産品・名産品を全国に広めたり、
おらがまちの観光地に全国から観光客を呼び込むのが主な仕事です。

その手段として、マスコミに売り込んだり、
JRとタイアップしてキャンペーンをはったりとか、
アンテナショップを作って特産品・名産品を販売したりとか、
観光地にパンフレットを設置したりとか、
いろいろやっています。

そのなかに、デパートで物産展を開催して、物産や観光のPRをする
というのもあるのです。

そして行政はその外郭団体として
物産協会を作ったわけです。

これは、物産協会に自分の都道府県の産品を扱う
商社的機能を持たせようとしたので
営利性が出てくるので、行政から切り離すのが目的だったのでしょう。
それに、バブルの名残なんでしょうが、外郭団体=天下り先の確保という
目的もあったものと推察します。

物産協会は多くは社団法人や財団法人で、行政から財政的に支援を受けつつ、
物産展の出展者などから参加費をとって加盟を受け入れています。

ちなみにまれに法人格が株式会社の物産協会もあり、
(沖縄県「沖縄県物産公社」、岩手県「岩手県産」など)
そこは、出展者は加盟していないと思います。

ついでにもうひとつ余談。
観光協会という団体もあります。こちらは観光振興が主な仕事です。
こちらもまれに物産展に絡むことがあり、
先述した「主催」「後援」に名前を連ねていることもあります。

物産協会も観光協会も機能的には重複することも多いため、
近年の行政のリストラの流れに乗って、観光物産協会として
統合される例が多くなってきました。
合併するのは市町村だけではないのです。

さて、話を戻しましょう。
デパートの担当者は
物産協会から、
情報をもらったり、情報収集してもらったり、
出展者の紹介を受けたり、
仲介してもらって出店交渉します。
物産協会はその見返りに、
物産展売上売上のうち、
デパートのあらかじめ決められた率の手数料を
差し引いた売上を受け取り、
そこから何パーセントかの手数料を差し引いて
各出展者に支払っているのです。

もちろん物産協会は物産展の手数料だけを
収益源にしているわけでなく、
アンテナショップを持っていたりして、
そこからも収益を得ています。

とにもかくにもこうして、物産協会に支えられて多くの物産展は企画されています。
もちろん、デパートが物産協会に仲介されることなく直接取引きする物産展も多くあります。
特に、地域でくくれない物産展は物産協会がないですからね。
まぁ、花まるマーケットのおめざフェアみたいに企画会社が介在することもあるのですが…。

あとは、京都や東京(江戸)などのように
行政が関係しない物産協会がある(しかも複数!)ところもあります。

多くは、行政が物産展に熱心でないため、
それを見限って、独自に民間の力で
仲の良い出展者同士が組織化して物産協会的活動を行うものや、
あるいは物産協会内の派閥争いを嫌気したり、
不満を持った人が組織化するということもあります。

その他にも、地方のデパートが、
地元の出展者を集めて物産協会的活動をすることや、
行政がデパートと連携することもあります。
(たとえば大分県の「大分一村一品」。県と地場デパート「トキハ」が連携しています)

あと変わったとこでは
電源地域振興センターという電力会社の関連団体が
発電所のある地域の物産展を企画していて、
北海道の丸井今井デパートなどで
「電気のふるさとじまん市」として開催しています。

とりとめなく書いてしまいましたが、機会があれば
物産協会のもうひとつの顔である
「アンテナショップ」についてもご紹介したいと思います。
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(初出:2005年7月19日)

物産展での仕入形態についての話の続きです。
http://blogs.yahoo.co.jp/naha78ryu9ishigan10/6647359.html
では、買取仕入せざるをえない理由を見てみましょう。

1.百貨店が出店者に対して力が弱い。
先の記事でも述べたとおり、出店者にはそれなりのリスクが付きまといます。
人件費、交通費、宿泊費などです。そのため、強気な出店者は最初から
買取仕入の取引のみ応じる、というスタンスで臨むことがあります。
もちろん、消化仕入でも一定の売上があれば、利益はむしろ増大するのですが、
このような出店者は、買取仕入の原価率も極めて高く設定されているのです。
万が一消化仕入に応じたとしても、交通費、宿泊費を百貨店に負担するように
求めることでしょう。
例えば…(書いていいのかすごく躊躇してしまいますが)
北海道の六花亭とかですね。

2.出店者が物理的に出店できない。
物産展の商品は、質が良くて売れるものであっても、
その製造者が家族経営で余分な人員を抱えていない、
ということがしばしばみられます。
そのような場合、地元を閉めてくるわけにはいかず、
買取仕入せざるを得ないのです。

3.物産展に不可欠な商品・ブランドである。
マーケットが小さく殆ど売れないのですが、物産展である以上、
その商品がないと格好がつかない商品というのも存在します。
そうした商品は、出店してもらっても経費的に見合うわけはなく、
百貨店も、売れない商品のために出店者のスペースを確保するのは
面積効率(売上や利益を販売する面積で割ったもの)が落ちるだけですから、
単品で小さなスペースで販売した方が得策なのです。
珍味・銘菓類が該当します。九州物産展でみかける
長崎の松浦漬という鯨の軟骨の粕漬けなども
マニアックすぎる商品なのですが、それほど売れるものではないので
買取で数量限定で仕入れられたりします。

4.販売価格を押さえたい。
消化仕入の場合にはさまざまな経費がかかるため、原価率は高くなります。
すると、商品の値引きの余地は小さくなります。
しかし、商品によっては、集客のために販売価格を下げて販売することがあります。
その値引きの原資を確保するために、(消化と比較して)
比較的原価が低くなる買取で仕入することもあるのです。

こうして、二つの形態で物産展の商品は仕入れられるのですが、
それなりの理由があって仕入方法が選択されるわけです。

では、最後に知っておいて得する情報を一つ。
百貨店は、そもそもの成立の起源が「正札販売」にあります。
つまり、それまでは「相対取引」で店と客がその場で
価格を交渉していたのです。

それを、値札を表示して定価を定めて販売したのが
三井越後屋呉服店です。そう今の三越ですね。
その経緯から、(制度化されたものを除いて)
百貨店は値引きやオマケはしてくれません。

ですから、百貨店が買取仕入している(百貨店が販売している)商品は
値引きしてくれません。
ところが、消化仕入の商品は、意外とその場で交渉すると
色をつけてくれるのです。値引きだったり、計量販売の場合
多めに入れてくれたり…。

一番多いパターンはまとめ買いすると安くしてくれるパターンですね。
380円のものが、3パックで1000円とか。
ただし、まれにそれを織り込んで単品の値段を吊り上げている輩も
いるので要注意ではあります。
(初出:2005年7月13日)

百貨店の物産展で販売されている数多くの商品は、
大きく二つの形態で仕入れられています。

1.買取仕入
2.消化仕入
以上の二つがその形態です。
どちらの場合も客が購入した代金は一度百貨店に入ることになります。

買取仕入とは、百貨店が買い取りで仕入れて、百貨店側が販売するものです。
当然、残った在庫は百貨店が処分することになります。

消化仕入とは、出店者が商品を持ち込み、出店者自身が販売するものです。
そして、売れた(消化した)分だけ百貨店が仕入れるものです。
売り上げた分だけ仕入れるということで、売上仕入と呼ぶ百貨店もあります。
(つまり、分かりやすく説明すると売上の一定の割合を百貨店が取り、
残りを出店者に支払うものです。)
ですから、残った在庫は出店者が持って帰ることになります。

そしてこの2つの形態の違いは、消化仕入の場合、
出店者は人件費・交通費と宿泊費がかかるという点にあります。

従って、多くの場合買取よりも、消化のほうが
仕入原価率が高くなる傾向にあります。

一見すると百貨店には有利に見える消化仕入ですが、
出店者にもメリットはあります。

売上が一定の水準を超えた場合、出店者が得られる利益が
買取で同じ額を売った場合より大きくなるのです。

たとえば、ある商品があって、
百貨店が買取仕入で75%、消化仕入で85%で仕入する場合を考えてみましょう。
そして、出店者の商品の製造原価は、販売価格の30%と仮定します。
交通費・宿泊費はそれぞれ5万ずつかかるとします。
(人件費は、自社の人員を使うと仮定して計算しません)
この商品が50万・100万・200万売れた場合を見てみましょう。

A.50万の場合
・買取の場合:百貨店の仕入原価は37.5万
そこから、製造原価を差し引くと出店者は22.5万の利益があります。
このときの利益率は45%です。
・消化の場合:百貨店の仕入原価は42.5万
そこから、製造原価と交通費・宿泊費を差し引くと17.5万の利益になります。
このときの利益率は35%です。
つまり、買取のほうが出店者には有利です。

B.100万の場合
・買取の場合:百貨店の仕入原価は75万
そこから、製造原価を差し引くと出店者は45万の利益があります。
このときの利益率は45%です。
・消化の場合:百貨店の仕入原価は85万
そこから、製造原価と交通費・宿泊費を差し引くと45万の利益になります。
このときの利益率は45%です。
つまり、買取と消化の場合の利益が均衡します。

C.200万の場合
・買取の場合:百貨店の仕入原価は150万
そこから、製造原価を差し引くと出店者は90万の利益があります。
やはり利益率は45%です。
・消化の場合:百貨店の仕入原価は170万
そこから、製造原価と交通費・宿泊費を差し引くと100万の利益になります。
つまり、利益率は50%になりました。
そう、買取仕入よりも消化仕入の方が、利益が大きくなるのです。

ちょっと、話が専門的になりました。
ちなみに、ここに出した数字はあくまでシミュレーションで、
実在の商品を指すものではありません。
(まぁ、当たらずとも、遠からずな数字ですけど…)

では、この出店者に有利になる可能性のある消化仕入より、
買取仕入が幅を利かせているかというと、実はそうではありません。

おそらく、9割以上が消化仕入です。買取は1割にも満たないのです。
その理由はいくつか考えられます。

1.百貨店が買取仕入でコントロールできる商品数は限界がある。
百貨店の商品管理は意外と遅れていて、特に短期間の取引になる
物産展においてはシステム化が困難で、手作業に頼ることが多く、
他のフロアやスーパーやコンビニのように多くの商品を管理しきれないのです。

2.売れ残りのリスクを負わなくて済む。
先ほども述べたように、物産展は短期間の取引であり、
普段取り扱わない商品も多くあります。
そうなると、売れ行きの予測が非常に難しく、
買取では在庫のリスクを負うことになりかねないのです。

3.百貨店に販売力やノウハウが無い。
「餅は餅屋」ではないですが、商品によっては
百貨店は商品知識や客のニーズの把握が弱く、
買取で販売しても売れる見込みが無いことや、
商品の取り扱いが難しく、取り扱いのノウハウがない場合もあります。

4.出店者のブランドそのものや販売員に魅力がある。
とくに老舗の場合、そのブランドやその販売員に魅力が
あるため、百貨店が利益を削ってでも出店して欲しい場合があります。

5.実演販売でないと売れない。
お弁当や菓子などの場合、実演販売で無いと売れないものがあります。
こうした場合も消化仕入になります。

こうしてみると、逆にすべての商品を消化仕入した方が
良いような気がします。
ところが、逆に買取にせざるを得ない場合があるのです。

ここまで書いて流石にバテてきましたので、買取の理由は次の機会に。
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